とある飛空士への夜想曲 上 / 犬村 小六 (著), 森沢 晴行 (イラスト)
とある飛空士への夜想曲 下 / 犬村 小六 (著), 森沢 晴行 (イラスト)
とある飛空士シリーズより、とある飛空士への夜想曲の上下巻を購入しました。
これより前に「とある飛空士への恋歌」が刊行されていて購入し始めていますが、アニメから入ったのでアニメの区切りがつくまでは原作を封印することにしています。「とある飛空士への夜想曲」は、「とある飛空士への恋歌」とは別の物語になっているので、こちらを先に読み進めました。
「とある飛空士への夜想曲」は、「とある飛空士への追憶」で、主人公の海猫こと狩乃シャルルと熾烈な空戦を繰り広げた、千々石武夫を主人公にしたスピンオフ作品です。追憶の最後で海猫を取り逃がしてから中央海戦争の終戦までを舞台に、千々石武夫の生き様を活き活きと描いています。
見所は多数ありますが、何と言ってもヒロイン水守美空とのドラマが一番ですね。愛しているが故に近づけない、そんなジレンマとそれを乗り越えさせた周囲の人間の優しさが感動を呼びます。特に千々石と腐れ縁の波佐見は、互いに嫌いながらもその能力を認め、素直になれないながらも大事な場面では相手を思いやる、すてきな腐れ縁です。ツンデレですね、ナイスです。
また、作中の大部分を占める中央海戦争は、太平洋戦争をモチーフにしていて、史実を元にしたエピソードがたくさん描かれています。最近、艦これにはまっている人にもにやりとできるエピソードが多数ありますよ。
いろいろと救われない部分もありますが、基本的にはハッピーエンドで、濃厚な人間ドラマも楽しめる、上質の娯楽作品でした。おすすめです。最後では、「追憶」のヒロイン、ファナ嬢の活躍も垣間見ることができましたしね。願わくば、ファナ嬢にスポットを当てたスピンオフ作品もぜひ。