ずいぶん久しぶりに、インイヤー型の有線接続イヤホンを購入しました。手元にある有線接続イヤホンは、ウォークマンの付属品を除くとMDR-EX500SLが最後なので、じつに13年ぶりの購入になります。
最近は音を楽しむことが増えてオーバーイヤー型ヘッドホンMDR-1Aの出番が増えてきていますが、ヘッドホンの重さが気になることも増えてきました。ならば完全ワイヤレスイヤホンを使うかというと、やはり有線のよさというものも捨てがたい。MDR-EX500SLやその前に使っていたMDR-EX90SLを引っ張り出そうにも、樹脂部品の劣化が進んでいて気持ちよく利用できなくなっていて、新しい有線接続のイヤホンを探していました。
いつもなら後継機から適当に選ぶところですが、ソニーだと有線接続イヤホンの選択肢が少ないんですね。iPhoneにヘッドホン端子がなくなって久しく、イヤホンの需要がワイヤレスに移動しているからでしょうか。ソニーで目に止まったのはXBA-N3ですが、発売が2016年と5年前です。このクラスの製品だとほいほい新製品がリリースされるわけでもないでしょうが、それにしても5年は長いです。買った途端に後継機が発表されると悲しいので、手頃なイヤホンで手を打つことにしました。
無難に後継機を選ばないとなれば選択肢を広げるいい機会なので、最近オーディオ関連で成長著しい中国のメーカーから選ぶことにして、あれこれ探した結果購入に至ったのが、中国は深圳にあるWhizzerが放つカナル型イヤホンKylin HE01です。
Kylin HE01はダイナミックドライバー1基を搭載した、いわゆるエントリーモデルです。バランスド・アーマチュアドライバーを搭載したハイブリッドモデルなど高級品もラインナップされていますが、今回はお手頃さを優先してエントリーモデルたるHE01を選びました。
パッケージはエントリーらしからぬ高級感漂う黒基調のパッケージです。
右下にはKylinのロゴがプリントされています。光沢のある凝ったプリントで、品質への期待を高めてくれます。
辞書のような格好で内箱が収められています。隙間なく収まっていて取り出しにくいので、気を遣いつつ取り出します。
外箱はHE01の製品名が目立つように配置されていましたが、内箱はKylingのシリーズロゴが目立ちますね。蓋が磁石で固定されていて、写真の手前側から開けられる作りになっています。
手前側には、Whizzerのメーカーロゴと利用テクノロジーのロゴが並んでいます。BRIGHTは10.2mmの複合振動板を使ったWhizzerの第四世代ユニット、J.IDEAは製品をデザインしたデザインスタジオ、HDSSは内部共振や歪みを抑えるための特許技術です。
蓋を開けると本体とご対面です。
透明感のある白基調の上品で洗練されたデザインのハウジングが目をひきます。WH-1000XM4のサイレントホワイトに続く白基調の製品ですが、意外にしっくりきますね。フレームの銅色といい、サイレントホワイトと似たテイストで気に入りました。
他にはキャリングケースとケーブルが収められています。どちらも寸法ぴったりで収まっていて取り出しづらいほどです。
本体を取り出してみました。筐体が透明で内部構造が見えるのが外観上のアクセントになっています。
コネクタからダイナミック型ドライバー、音導管につながる流れが滑らかにまとめられています。
側面にはBRIGHTの文字が入ります。第四世代ということで熟成に期待できるはず。
ケーブルは5N OFCを使った手織りのケーブルが付属します。OFCの素材色と緻密な織り目があいまって美しい。被覆されたケーブルもいいですが、こういうケーブルもいいものですね。
プラグはKylinブランドのカスタム品です。ちゃんとロゴが入っていますね。一般的な3.5mmの3極プラグで、接続機器を選びません。
イヤホンとの接続は、2Pin 0.78mmで、リケーブルにも対応します。ただし、コネクタ側にカバーがあるケーブルでないと、根本の強度が心配になります。リケーブルの値段でこのイヤホンがもう一つ買えてしまいかねないので、リケーブルには手を出さないぞ、と。
キャリングケースの中にはイヤーピースと清掃用のブラシが入っています。イヤーピースはリファレンスとボーカルの2種類、サイズはS / M / Lの3種類が付属します。イヤーピースのサイズ感は、初めてのメーカーなので試行錯誤が必要ですね。
イヤホンにケーブルを接続してみました。ケーブルとイヤホン本体の透明感や銅色の金属感がマッチして、見た目に満足できますね。J.IDEAデザインスタジオは伊達じゃない!!
イヤーピースは中心のノズルにはめ込む部分の材質が違うみたいですね。左がボーカル、右がリファレンスです。まずはリファレンスから使うことにしました。サイズはMがよさそうですが、耳への密着感がいまひとつなので、サイズを変えていろいろ試してみようと思います。
さっそくウォークマンNW-A100に接続して鳴らしてみました。まず感じたのはスッキリと透明で素直、バランスのいい音だということです。低インピーダンスかつ高感度なイヤホンなので、NW-A100でも楽々と鳴らしきれますし、繊細な音まで細かく鳴らせていると感じました。最近はワイヤレス接続でアンプ搭載のイヤホンばかり使っていたので、有線接続のイヤホンの繊細さが際立ちますね。この音はこんな聞こえ方だったかなー、と新鮮な気持ちで音を楽しめました。ボーカルの息遣いまで聞こえるような、は定番のフレーズですが、まさにそのボーカルの息遣いや細かいニュアンスまで汲み取れる繊細さと解像感の高さが気持ちよいイヤホンです。
イヤホン自体がクセが少なく素直な分、EQで味付けしても全体のバランスが破綻せずに楽しめます。イヤホン自体にクセや味があるとEQと喧嘩することもありますが、HE01はEQをかけっぱなしでも破綻することが少ないです。NW-A100のClearAudio+を活用してもバランスや雰囲気が変化しすぎず、より高品質な音を楽しむことができました。
久々の有線接続イヤホン購入でしたが、満足できる買い物でした。しばらくはMDR-1Aと使い分けて音を楽しもうと思います。イヤーピースの装着感には改善の余地がありそうなので、社外品のイヤーピースを試してみようかな。
外出時は使い勝手とノイズキャンセリング性能を重視して完全ワイヤレスの出番が多くなりますが、落ち着いた場所では有線接続のよさも感じたい。いろいろな使い方を試して、自分に合った音の楽しみ方を再構築していこうと思います。