キンバーケーブルとのコラボモデルは高価だ、と言った舌の根の乾かぬうちに飛び込んでしまいました。
ソニー純正のステレオミニプラグケーブルです。KIMBER KABLE社と協力して、独特のBraid(編み)構造を採用しています。MUC-B12SM1の販売価格は¥20,000前後とちょっと手が出ませんが、約半額で状態のよさそうな中古が売り出されていたので思わず手を出してしまいました。
リケーブルをとっかえひっかえするよりも、純正で高音質をうたうケーブルを試しておけば迷いはなくなるでしょう。大三元ズームレンズを買えば、ズームレンズでこれ以上悩む必要がなくなるのと同じです。
機器側のステレオミニプラグです。中古だから使用感があると思っていたら、ほぼ新品同様で使用感も少ない状態でした。プラグ部分は金メッキ、グリップ部分はアルミニウム合金です。グリップ根本のケーブル保護が柔らかく変形する素材なのが珍しい。
こちらはヘッドホン側の3極ミニプラグです。グラウンドと信号の2極で十分だと思うのですが、なぜ3極なのかは不明。そういえば、付属のバランス接続ケーブルもヘッドホン側は3極でした。
左右のケーブルが分岐する箇所には、”Engineered with KIMBER KABLE”が印刷されたケーブルどめが配置されています。8本編みのケーブルが、4本編み2本に分岐してヘッドホンに向かう様が美しい。
さっそくMDR-Z7M2に接続してみました。ねじ式のロックリングで固定できるのは純正ケーブルならでは。がっちり固定されて安心です。8本編みのBraidケーブルは、やはり目立ちますね。色がローズゴールドっぽい落ち着いた色で上品にまとまっているので、気になるほどではありません。
NW-ZX300にアンバランス接続して鳴らしてみました。音の傾向はonso hpct_03_ub33とほぼ同じく素直でクリアな傾向です。onso hpct_03_ub33は、導体にOFC(無酸素銅)を使い太さの異なる4種類の導線を撚り合わせたツイスト構造としていて、素材も構想もMUC-B12SM1と似通っているため音の傾向が似るのも当然かもしれません。
両者の類似性は、ブラインドで比較したら区別がつかないくらいだと感じます。聴き比べるにもヘッドホンを外してケーブルをつけかえてと、手間と時間がかかり印象がぼやけて比較が難しい。スイッチひとつでばちんと切り替えられるといいんですけどね。
左右のケーブルが合流する場所はヘソのあたりと、onso hpct_03_ub33よりは若干下よりです。私にとってはこちらの方が使いやすい位置ですね。頭を左右に振っても余裕があって好ましいです。タッチノイズも少なめです。ケーブル表面がツルツルの素材でカバーされているからでしょう。
ただし、ケーブルの取り回しは良いとは言えません。8本編みのケーブルは曲がりにくく、折に触れ存在感を意識させられます。重さも65gと重ためです。MDR-Z7M2の側圧は強めですし340gの重量級なので、ケーブルに引っ張られる感覚は少ないですが、onso hpct_03_ub33よりも軽快感は薄くなります。
とはいえ、L型のステレオミニプラグはウォークマンなどのポータブル機器では取り回しが良好です。付属のケーブルもonso hpct_03_ub33も、プラグはストレートなのでL型プラグはありがたい。存在感のあるケーブルが、本気で音楽を聴いている感を盛り上げてくれて、聴いていて楽しいのもポイント高し。ケーブルを使い分けながら、音を楽しみたいと思います。
ちなみに”Engineered with KIMBER KABLE”は、4.4mmバランス接続のモデルやMDR-1A向けバランス接続のモデルもラインナップされています。劇的な音の変化はないと思いますが、少し気になってきました。機会を見つけて実物を見たり試聴したりしてみようと思います。