新しいヘッドホンを購入しました。今さらながら、ソニーのハイレゾ対応有線ヘッドホンMDR-1AM2です。
有線のヘッドホンは、ソニーの初代MDR-1Aをイヤーパッドを交換して愛用していたり、同じくソニーのMDR-Z7M2を購入したりと、ソニー製品を選んできました。MDR-1AのM2は気になっていたものの、MDR-1AやMDR-Z7M2に買い足すほどの思い切りはなく、長らく指をくわえて様子見してきました。
外出時は有線ヘッドホンを使うことはまずありませんが、最近は落ち着いてじっくりと音に向き合う機会も増えてきたことと、たまたまMDR-1AM2のシルバーが手頃なお値段で売り出されていたので、思い切って購入したわけです。
発売はちょうど4年前の2018年3月で、レビューや試聴の感想の類は出尽くしています。先代のMDR-1Aから、ハイレゾ音源をさらに忠実に表現することを目指した仕上がりは、私の耳には十分以上の音質でしょう。
高級感のあふれるブラック仕上げの内箱を開けると、本体とご対面です。
ハウジングを90度回転させて平面に収納できる機構は先代譲りです。
ハウジング部分は直径を約7mm縮小して約59mmに小型化しています。
ヘッドバンドの構造も見直して27.5mm幅にスリム化しています。ヘッドバンドとの接続部も先代よりパーツが削られていて、構造がより単純になっています。
イヤーパッドの素材や形状も改良されています。表面には、吸放湿性に優れた合成皮革を使い、蒸れにくさに配慮しています。加えて、内部の素材に低反撥ウレタンフォームを採用するとともに縫い目が頭に触れないような縫製にしたことで、遮音性と快適な着け心地を両立したとのこと。
ドライバーユニットも新開発です。グリルには、MDR-Z7M2やMDR-Z1Rで採用されていたフィボナッチパターングリルが採用されています。フィボナッチ数列を参考にした曲線で開口部が均等化され、振動板からの空気の伝搬が阻害されないため、なめらかな超高域再生が可能とのこと。
付属のケーブルは2種類です。1つは3.5mmシングルエンドでマイク付きのケーブルです。本体色のシルバーに合わせたカラーのケーブルが、一体感のあるデザインに貢献しています。
もう1つは4.4mmバランス接続のケーブルです。先代のMDR-1Aとピンアサインは同じなので、ケーブルが使いまわせるのが嬉しいですね。リケーブルでいろいろ楽しめそうです。
キャリングポーチも付属します。MDR-1A付属のキャリングポーチは合皮部分があって経年劣化でボロボロになりましたが、MDR-1AM2は合皮部分がなくなっています。高級感は減りますが長持ちしそうで、これはこれで嬉しい。
MDR-1Aと並べてみました。こうして見比べると、ハウジング部分のコンパクトさが目立ちますね。細かい部分のデザインの違いもよく分かります。
イヤーパッド部分の比較です。MDR-1AM2は耳に当たる部分に縫い目がありません。MDR-1Aはサードパーティのイヤーパッドに交換してしまったので厳密な比較はできませんが、M2の方が快適に装着できそうに見えます。
さっそく装着して鳴らしてみました。音質を語る前に、まず装着が快適なことに驚きます。イヤーパッドもさることながら、先代よりも40gほど軽くなった187gという軽さが驚くほど快適性に貢献しています。また、可動部のメカノイズが格段に減らされていて、ギシギシという軋み音が全くしません。MDR-1Aは経年劣化もあるのか、軋み音が気になることがあるんですよね。邪魔されずに音に没頭できるのは快適です。
音の方は文句なし。MDR-1Aの高音質を保ったまま、より落ち着いたバランスの良い音だと感じます。MDR-1Aは高音と低音にメリハリが効いた楽しい音ですが、MDR-1AM2は全域にわたってバランス良く、しっとりと聞かせる音です。どちらが良いということもなく、性格が少し違う、といったところです。
ウォークマンのインタビューで「お気に入りの音楽を楽しく聴ける製品を選んでほしい」という開発者の方の言葉がありましたが、まさにその通りです。MDR-1AもMDR-1AM2もそれぞれ違った楽しさが感じられて、選ぶのに迷ってしまいますね。
有線も無線もいろいろなヘッドホンを揃えてしまいました。しばらくご無沙汰していた「落ち着いてじっくりと音楽を聴いて楽しむ」ことを、改めて始めてみようと思います。