はじめに
自転車乗りが目指す約束の地のひとつ「乗鞍」。舗装路を走ることができる場所のうち、日本で最も高いところにあるのが、目指す理由の一つです。それだけでなく、季節により全く異なる顔を見せてくれる絶景ルートでもあります。春先から秋口までの限られた期間しか走れないのもレア感を高めてくれます。
乗鞍に至る道は、長野県側の「乗鞍エコーライン」と岐阜県側の「乗鞍スカイライン」があります。このうち、乗鞍エコーラインは以前走ったことがあります。
季節は夏真っ盛りでしたが、評判通りの絶景がこれでもか、と押し寄せてくる圧巻のヒルクライムでした。
いつか岐阜県側の乗鞍スカイラインにも挑戦してみたい、と思っていたところ、たまたま予定が確保できて天候もまずまずの予報だったので、思い切って挑戦したわけです。
乗鞍スカイラインまでの移動は車でトランポすることにしました。長野県側の乗鞍エコーラインは自転車はまだ通行止めです。乗鞍に登った後は、元の場所まで降りてくるライドになるので、車でも問題なし。出発時間や現地での行動も自由度が高まって、便利ですしね。
乗鞍スカイラインのゲートが開く7時にあわせて、暗いうちから出発しました。
ほおのき平からスタート!
乗鞍スカイラインに近い駐車場は、ほおのき平のスキー場の駐車場か、平湯温泉にあるあかんだな駐車場が便利です。今回は高山からアクセスしたので、近い方のほおのき平を利用しました。
天気は晴れ、絶好のサイクリング日和です。この晴天に油断して情報をチェックしなかったことが、後できいてくるわけです。
バス乗り場には、バスで山頂に向かうお客さんがたくさん。乗鞍は2700mまでバスで移動できる珍しい山なのです。仕事が終わってからハイヒールで高山へ、というキャッチフレーズが踊っていました。
それでは、車から自転車を下ろしてライドスタートです。
ほおのき平から乗鞍スカイラインの入り口である平湯ゲートまでは、実はけっこう登ります。獲得標高でおよそ400mほどです。この県道5号分岐までで、すでに200mほど登ります。山頂に合わせた服装だと暑いくらいの陽気でした。
ひたすらペダルを回して、平湯ゲートに到着しました。これが写真でよく見るモニュメントですね。さっそく愛車と写真撮影です。今回は車でトランポだったので、ディスクブレーキのTCRを連れ出しました。
ここまできて気づいたのですが、マイカー規制がかかる平湯ゲートの近くに駐車スペースがあって、マイカーで平湯ゲートまでは来られるんですね。バスではなく自転車で登るなら、平湯ゲートまでマイカーで来ると獲得標高を減らすことができます。
写真撮影が済んだら登るか、と思って周りを見渡すと、なにやら様子が変ですね。
悲しみの自転車通行止め
なんと、自転車通行止めとのこと。あまりの晴天に油断していました。乗鞍スカイラインを登った先の畳平は、強風により気温は氷点下とのこと。
ここはこんなにいい天気なんですけどね。
しばらく写真撮影などしながら様子を見ます。
待ってはみたものの、風が強くなるばかりですぐに通行止めが解除になるとは思えなかったので、後ろ髪をひかれながらもいったん撤退することにしました。
平湯温泉で昼ごはん
ほおのき平までダウンヒルして車に自転車を積み、平湯温泉まで移動しました。こういうとき、車だと自由がきいて便利。バスターミナルにあるレストラン「アルプスホルン」で昼ごはんをいただきました。
限定の「飛騨牛焼きしゃぶランチ」が残っていたので、迷わず注文。
飛騨牛に舌鼓を打ちながら、のんびりと昼ごはんを楽しみました。
乗鞍観光センターで温泉
さて、昼ごはんを食べ終えても通行止めは解除される気配がありません。山は逃げない、ということで明日また挑戦することにして、予定を調整し今日の宿泊場所を確保しました。今日の残りはドライブと観光にあてることにします。
安房トンネルを抜けて長野県に入り、乗鞍の麓までやってきました。湯けむり館、そう、温泉です。
今日はもう自転車に乗らないことにして、ゆっくりと温泉を楽しむことにしたわけです。エコーラインがまだ開通していないこともあり、お客さんの数も少なくのんびりできました。
温泉に入ってさっぱりした後は、乗鞍観光センター周辺を散策です。よくよく考えると三本滝ゲートまでは自転車で通行できたので、登ればよかったかもしれません。まぁエコーラインが開通したら、また登りましょう。
見上げると雲がかかった乗鞍岳が目に入ります。
山肌を走るエコーラインが見えます。開通したら、また来たいですね。
ちょっと見ている間にも雲が流れていきます。この様子では、もうしばらく通行止めが続きそうですね。今日は諦めて正解でした。
シーズンには満車になる駐車場も、いまはまばらでした。賑やかなのもいいですが、静かで落ち着いた雰囲気もいいものです。乗鞍の別の姿を楽しめて幸運だと思いましょう。
高山観光
今日の宿は高山に確保したので、国道158号線を進んで高山に移動します。チェックインして洗濯など明日の準備を済ませたら、高山を観光です。
とはいえ、特に何をするでもなく散策するくらいです。観光客もそれなりにいて、混雑とまでは行かずとも賑わっていました。観光目的の入国も制限緩和するようなので、落ち着いた観光地もこれが見納めですかね。
大衆居酒屋あじ平で晩ごはん
晩ごはんは、高山の居酒屋さんに挑戦しました。
いかにも居酒屋、という雰囲気の店構えです。創業30年の老舗で、飛騨高山らしい昭和ロマン漂うレトロな空間と、大衆居酒屋らしい気さくで元気な接客が売りだそうです。いつも予約でいっぱいの人気店ですが、たまたまカウンターに空きがあったので滑り込みました。
突き出しをいただきながら、メニューを眺めます。こうしている間にもひっきりなしにお客さんが訪れていて、人気店ぶりを実感します。
居酒屋というと晩ごはん目的にはちょっとそぐわないこともありますが、あじ平さんはなんとごはんセットがあるのです。ごはんとお味噌汁とお漬物のセットです。
ごはんがあるのか うん!そうかそうかそうなれば話は違う ここに並んだ大量のおつまみがすべておかずとして立ち上がってくる、と井之頭五郎ばりのセリフを心の中で呟きながら、注文をお願いしました。
つけものステーキです。起源は厳冬期の飛騨を越える知恵として、凍りついてしまった漬けものを囲炉裏で朴葉にのせて炙っていたものです。それが時代とともに、漬物を卵でとじたB級グルメとなったとか。つけものの塩味を卵が優しく包んでいて、おつまみにピッタリ。もちろんご飯もすすみます。
あじ平の自家製メリメロけいちゃんです。けいちゃんは、味噌で漬け込んだ鶏肉をキャベツや玉ねぎと一緒に焼いたものです。
いろいろな部位の鶏肉が入っていて、味も食感も様々で楽しめます。濃いめの味噌味で、これまたご飯がすすみます。
最後は飛騨牛の串焼きです。じゅわっと甘い脂が口の中で溶けてゆく、牛肉らしい牛肉です。たくさん食べるものではなく、こうやって少量をじっくり楽しむのがいいですね。
最後、ご飯が足りなくなっておかわりしようとしたのですが、今日は全然走っていないので自粛しました。孤独のグルメばりに、ふらっと居酒屋さんに入って晩ごはんを食べてみましたが、想像以上にスキルと経験が必要ですね。ライドの際はご当地グルメに積極的に挑戦して、孤独のグルメスキルを磨きたいと思いました。
宿に戻ったら、明日に備えておやすみなさい、です。
今回の軌跡
この日のグルメ
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