必要に駆られて、久々にオーディオ製品を購入しました。
オーディオ機器の老舗、ヤマハの配信向け小型ミキサー「AG06mk2」です。
ライブストリーミングミキサーと名付けられた通り、ライブストリーミングに特化した構成・機能のミキサーです。mk2とついているのは先代がいるわけでして、2015年に発売されたミキサー「AG06」の後継機種です。ミキサーとして複数の入出力を扱いつつ、PCやタブレット、スマホ経由でライブ配信するためのデジタルオーディオインタフェースも備える高機能なミキサーです。
今回は、ちょっとしたライブ配信のために利用しました。音声はマイクを2本、BGM用にステレオ入力を1系統、配信にはPCのZoomを使い、Zoom参加者の声を現場に届けつつ、現場のマイク入力をZoom参加者に届ける、という構成です。マイク入力が2系統欲しかったので、AG06mk2を選んだわけです。マイクが1系統でよければAG03mk2で対応可能でした。AG03mk2はマイクの音量調節がダイヤルではなくフェーダーで、プロが使うミキサーっぽくて気分がアガるんですよね。
mk2から、ブラックとホワイトの2色が用意されました。今回はブラックを選択。他のデバイスが軒並み黒系統だったので。卓上配信で使うなら合わせやすくて上品なホワイトも魅力的。
大きさは10インチのiPadよりも少し小さいくらいです。この大きさで6チャネルの入力、デジタルオーディオ、DSPを備えた優れものです。PCとこれ1台あれば、大抵の配信はこなせますね。会場が大きい場合は対応が難しいですが、その場合は会場の音響設備を使って、配信部分をAG06mk2に任せればよいわけです。
ここからは各部の紹介です。
前面左上にはXLR、フォーンタイプ両対応の入力端子が配置されています。両方ともファントム電源を供給可能で、高音質なコンデンサマイクを利用できます。Ch2はギター入力にも対応しています。内蔵DSPでエフェクトもかけられるので、エレキギターでの弾き語り配信もお手のものです。
前面上部中央にはステレオのライン入力が配置されています。キーボードなどの電子楽器からのライン出力や、BGM用のオーディオ機器からのライン出力を接続して使います。
前面下部は音量の操作部が配置されています。ダイヤル型でスムーズに操作できます。個人的にはフェーダーの方がカッコよく感じますが、フェーダーはスペースを取るのでミキサーが大きくなるんですよね。AG06mk2のコンパクトさは、このレベルツマミのおかげですから、これでヨシ。
Ch1とCh2には内蔵DSPでエフェクトがかけられます。ミュートスイッチはmk2からの新機能ですね。レベルツマミで調整してもよいのですが、ボタン一つでミュートにできるのはとっさの操作に便利だと思います。
電源スイッチの周辺には、ライブストリーミングミキサーならではの端子が配置されています。ヘッドセットはマイク付きのヘッドセットを接続するための端子です。ヘッドセットのマイクはCh1に入力され、ヘッドセットへの出力はAG06mk2のモニター出力との排他利用です。マイクとモニターがなくても、手持ちのヘッドセットを使えばとりあえず配信ができるわけです。
AUXはスマートフォンやタブレットを接続するための端子です。こちらも入出力の両方に対応しています。BGMや効果音を出すだけでなく、スマートフォンやタブレット経由でバックアップの配信をすることも可能です。
左下のストリーミングアウトは、ライブストリーミングミキサーならではの機能です。AG06mk2はUSBで接続すると入出力1系統ずつのデジタルオーディオインタフェースとして認識されます。この入出力の取り扱いをストリーミングアウトの設定で切り替えられます。設定は、DRY CH1-2、INPUT MIX、LOOPBACKの3種類が選べます。
配信でよく使うのは、INPUT MIXとLOOPBACKです。
INPUT MIXは雑談配信や音声チャット向けの設定です。マイクやライン入力に入力された音声をミックスしてデジタルオーディオインタフェースの出力に送ります。AUXからの入力もミックスされます。
LOOPBACKはゲーム配信向けの設定です。INPUT MIXに加えてデジタルオーディオインタフェースからの入力、つまりPCからの出力もミックスされます。PCでプレイしているゲームの音声を配信にのせられるというわけです。OBSを使ってPC内部でソフトウェア的に処理する方法もありますが、専用機器の方が遅延が少なく安定して処理できるメリットがあります。
前面右下はモニター出力の音量調整です。スピーカーとヘッドセットを独立して調整できるのが専用機器ならではですね。
前面右上にはモニター出力の端子が配置されています。フォーン端子がミキサーっぽい。フォーン端子は頑丈なので安心して使えます。
背面にはUSB Type-C端子が配置されています。左側は電源供給用です。スマートフォンやタブレットに接続して利用する際に電源供給が不足する場合、モバイルバッテリーなどを接続します。電源を必要とせず、場所を選ばず配信ができますね。
実際に配信で使ってみたところ、小型な筐体は設置場所を選ばずちょっとしたスペースに配置できて便利でした。入出力の接続もわかりやすく迷わず接続・設定できました。また、音量がダイヤルで調整できるのは直感的で便利ですね。専用機器の面目躍如といったところ。今回はZoomによる配信だったので、ストリーミングアウトの設定はINPUT MIXに設定しました。Zoomからの出音をZoomに返さない設定で、ハウリングを防ぐわけです。一般的なミキサーならAUXを使ってマイナスワンすれば同じことができますが、ケーブル一本でPCとデジタル接続してスイッチ一つで対応できるのは、さすがライブストリーミングミキサーを名乗るだけのことはあると思います。
自分では配信に手を出すことはなさそうですが、配信以外にWeb会議やセミナーなどでも使い勝手がよいミキサーでした。これからも、機会を逃さず活用していきたいと思います。