目次
はじめに
自転車イベントでよく見かける「センチュリーライド」は、いわゆる100マイルを走るライドイベントです。アルプスあづみのセンチュリーライド、通称AACRをはじめとして、日本でもたくさんのセンチュリーライドが各地で開催されています。そしてもちろん、日本以外に世界中でセンチュリーライドが開催されています。
センチュリーライドの中でも、アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島で毎年開催される「ホノルルセンチュリーライド」は、場所が観光地たるハワイということもあって日本からの参加者も多く、比較的参加しやすい海外ライドイベントです。
実はこの夏、このホノルルセンチュリーライドに参加してきました。新型コロナウイルス感染症のため2020年から3年にわたって中止されていたホノルルセンチュリーライドが、2022年は開催される見込みという話を聞いて気になっていたところ、海外渡航の制約が徐々に解除されていく様子だったので、思い切って参加を決めたわけです。オアフ島の自然を全身で満喫してホノルルセンチュリーライドを完走し、無事に帰国しました。
事前準備や渡航の際のあれこれ、センチュリーライド以外の現地での過ごし方などは改めてエントリーするとして、まずはホノルルセンチュリーライドの様子を振り返りつつお届けします。
ホノルルセンチュリーライドとは?
ホノルルセンチュリーライドは、ハワイ州オアフ島で開催されるファンライドイベントです。コースは、カピオラニ公園からオアフ島の東側を北上して、スワンジービーチパークまでを往復するコースです。コースの途中には折り返しポイントが設けられていて、25マイル、50マイル、75マイル、100マイルと、自分の体力にあわせた距離を走ることができます。
自転車は、もちろん自分の自転車を持ち込みました。ディスクブレーキのTCR、TCR ADVANCED PRO 1 DISC RIVAL ETAPです。航空機へのリチウムイオン電池の持ち込みに関する扱いが複雑かつ厳しいため、バッテリーを取り外しやすいSRAM eTapの自転車を選びました。ディスクブレーキの飛行機輪行は初めてでしたが、エア噛みすることもなく現地に自転車を持ち込めました。
スタート
ホノルルセンチュリーライドのスタートは、カピオラニ公園より6時15分の予定です。早起きしてライドの準備をして、まだ暗い中をスタート地点まで移動します。スタートはABCの3グループに分かれてスタートします。
そこそこ走れる人なら、早めにスタート地点へ行ってグループAの前の方に位置取ると、スタート後の走行がスムーズとのこと。走力に自信があるわけではありませんが、思い切って前に出ることにしました。
早めに到着したので並んでいる人もまばらです。こんな写真も遠慮なく撮影できるわけです。
日の出前で真っ暗ですが、照明機材が準備されていて足元に不安はありません。
写真撮影したりトイレを済ませたりしているうちに、人が増えてきました。
ホノルルセンチュリーライドの主催は、地元の自転車連盟であるハワイバイシクルリーグです。ハイビスカスの花があしらわれているのがハワイらしいです。
スタート時刻が近づいて、さらに人が増えてきました。今回の参加者は1100人ほど、うち日本からのエントリーは150人ほどとのこと。例年は日本からのエントリーが600人ほどなので、今年はずいぶん日本人が少なかったようです。
そうこうしているうちに、主催の挨拶が始まりました。
こちらは地元の議員さん。
協賛のオフィシャルエアラインJALからも挨拶がありました。
挨拶が終わると、いよいよスタートへのカウントダウンです。10カウントダウンでゆっくりスタート。オアフ島の自然を全身で味わうファンライド、楽しむぞ!
朝焼けのダイヤモンドヘッドロードからハイウェイを抜けて
スタートすると、まずはダイヤモンドヘッド方面へ向かって登っていきます。
登り切ったところからは、ちょうど日の出が見られるビューポイントがあります。足を止めて写真撮影に興じる人や前に進んでいく人など、各自思い思いに楽しんでいました。
ダイヤモンドヘッドを横目に進んで、高級住宅街であるカハラ地区を抜けると、ハイウェイに入ります。往路はまとまった台数の自転車が通行するため、右端(ハワイは日本と違って右側通行)の1車線を規制して自転車専用にしてくれています。ハイウェイを走る車のスピードは速いので、このような車線規制があると安心して走れます。
車線規制はあっても信号操作はないので、赤信号ではきっちり停止です。要所には警察官が配置されていて、交通整理してくれています。交通状況によっては、赤信号でも行かせてくれる場合もあります。
ハイウェイを抜けると、ハワイカイドライブに入ります。途中「ハートブレイク・ヒル」と呼ばれている登りがありますが、軽いギアをくるくる回して登り切りました。さほどハートブレイクせずにのぼれて、ちょっと達成感がありましたね。
第1エイド サンディ・ビーチ・パーク
ハートブレイク・ヒルをクリアして先に進むと、海岸線に出ます。右折してしばらく進むと最初のエイドステーションであるサンディ・ビーチ・パークに到着です。
エイドステーションは、AACRなどのエイドステーションと同じ構成です。バナナやオレンジなどの食べ物、水とスポーツドリンク、それにトイレがあります。メカや医療スタッフの方も常駐しているので、困ったときはすぐに相談できるのも嬉しい。
25マイル組は、ここで折り返してスタート地点に戻ります。私はもちろん先に進みます。
それにしてもスケールがでかい!オアフ島はハワイの中では大きい島ではありませんが、それでもスケールの大きい迫力ある景色が見られます。知らない世界を感じられて楽しい!
マカプウ岬へ
第1エイドを後にして72号線を進むと、有名なビューポイント「マカプウ岬」です。
岬の緑と海の青、空の青と雲の白の対比が美しい。
こちらはマナナ島です。別名ラビット島、言われてみればウサギに見えるような、見えないような。
ワイマナロのジャングルロード
マカプウ岬を後にしてしばらく進むと、内陸部に向かって左折することになります。
熱帯植物が生い茂る緑の中を進んでいきます。ライダーたちからは通称「ジャングルロード」と呼ばれているとか。
ジャングルもさることながら、そびえたつ岩壁がダイナミックで大迫力です。日本だとあまり馴染みのない光景ですね。
岩山のてっぺんが雲に覆われているのが、なんともハワイらしいと感じます。
この辺りまでくると、同じようなペースのライダーが固まってきます。一緒に走っていると、言葉を交わさなくても何か通じ合った気持ちになれます。普段はぼっちソロライダーなので、誰かと一緒に走るのは新鮮な気分ですね。
第2エイド カイルア・インターミディエイト・スクール
ジャングルロードを抜けると、コースは再び海に近づいてきます。しばらく進んで2つ目のエイドに到着です。
50マイルの人は、ここで折り返すわけですね。距離別に分けてエントリーするわけではなく、その場で距離を決められるのは自由で好ましいと感じます。
エイドは人がいっぱいです。イベント付近で急に暑くなったようです。水分補給はこまめにたっぷりと、熱中症対策に気をつけます。
敷地は広く緑も多く、環境は良好です。こんなところで学校生活を送れるといいなぁ。
第3エイド カハルー・ビーチ
第2エイドを後にして、カネオヘ湾を回り込むように進みます。
ダイナミックな山岳地帯を左に見ながら進んでいきます。
しばらく進んで、第3エイドに到着です。この第3エイドを10:30までに通過しないと、先に進めなくなります。グロスで20km/h程度の速度が求められるので、割と厳しい制限だったりします。絶景に足を止めて写真撮影に興じていると、あっという間に時間がたってしまうので注意。
まわりの人が、皆ここまで来られる健脚、豪脚ばかりに見えてきます。私もなんとか10:30の制限には間に合い、100マイル目指して先に進むことができました。
ビーチだけあって、海が近くに見えます。
例によって、75マイルの方はここで折り返しです。
カメハメハ・ハイウェイを行く!
第3エイドの先は、海沿いのカメハメハ・ハイウェイを進みます。カメハメハ・ハイウェイは海沿いの快走路です。右側通行のため海が近い!
青い海とビーチがどこまでも続く中を走っていると、何もかもが楽しくなってきますね。
見てください、この透明感。日本ではない地を走っていることを強く実感できます。
日差しはめちゃくちゃにキツいんですけどね。日焼け対策をしなければヤケドに近い状態になってしまいます。
ビーチには人がほとんどおらず、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
第4エイド スワンジー・ビーチ・パーク
カメハメハ・ハイウェイを進んでいくと、第4エイドに到着です。このエイドが100マイル組の折り返し地点です。
なんとか時間内にたどり着くことができました。折り返し後の復路はそれほど時間制限はキツくなく、ここまで来られたペースなら余裕で帰れます。
太陽は天高く昇り、日差しは強烈です。頭からかけ水をしたり、多めに水分補給をしたりして熱中症予防につとめます。
折り返してクアロア牧場を行く
エイドで水分補給を済ませたら、折り返して帰路につきます。
これから折り返し地点に向かう人とすれ違いながら進むわけですね。
苦しそうだったり、笑っていたりと、人それぞれの表情でライドを楽しんでいます。
往路では道の反対側だったので撮影しづらいですが、復路ならこのとおり。切り立った山々が印象深いです。
コースはカメハメハ・ハイウェイから離れ、再び山間部に入ります。
第5エイド キー・プロジェクト
しばらく進むと、第5エイドに到着です。
拍手と歓声で迎えてもらえました。エイドステーションは地元のボランティアスタッフで運営されています。みなさん親切にしてくださって、大変ありがたい。
果物以外の補給食もたっぷりと準備されています。今回は参加者だけでなくボランティアスタッフの数も少ないとのことですが、それを感じさせないほどパワフルに運営されていました。
水分補給やトイレを済ませて、先に進んでいきます。
帰路を進む!
帰路を進んでいくと、都市部が近く信号機が増えてくるため、参加者が固まってきます。お互いに声をかけあいながら、集団走行で進んでいきます。普段はソロが多く集団走行に慣れていないので、後ろの方から慎重についていきます。
行きに訪れた第2エイドは帰りでも訪れることができます。
いかにも学校という雰囲気の渡り廊下ですね。広々していて気持ちいい!
50マイル組はとっくに折り返してしまっていますね。
ひたすら進んでいきます。
ジャングルロードは帰路でも通過します。
運良く、乗馬のアクティビティを楽しもうとしている人に出会いました。私もいつかはやってみたいものです。乗馬体験から始めてみますかね。
コースはこのような黄色い看板で案内があります。要所要所に配置されていて、まず迷う心配は無用です。
マカプウ岬の手前でヒルクライムです。そういえば往路では下り坂でした。下りがあれば上りがある、それが鉄則ですね。
淡々とペダルを回して登り切りました。往路に比べると車が多く感じます。
日が高くなって光線の様子が変わり、朝よりも海が青く見えます。
ずっと眺めてみても飽きないですね。自然は複雑で無限のパターンがあるため、見飽きないのでしょう。
第6エイド ジェイムス
しばらく進んで、最後のエイドである第6エイドに到着です。
エイドでは水とスポーツドリンクが提供されます。私はもっぱら水でした。塩分やミネラルは別で補給する作戦です。アメリカのスポーツドリンクは好みに合わない恐れがあるので、粉末のポカリスエットなどを持ち込んでもよかったかも。
水とスポーツドリンクのタンクには氷がたくさん入っていて、かなり冷たい状態で提供されます。暑さでほてった体にはありがたい冷たさです。
最後のエイドだけあって、ほぼゴールムードです。みなさんゆっくり休憩しています。
エイドは地元のガールスカウトのみなさんが運営しています。親切で人好きのするみなさんで、心が温かくなります。
エイドを後にして、朝に走ったハイウェイを戻っていきます。帰りは車線規制がなく、車と一緒になってハイウェイを走ります。右折車(日本で言うところの左折車)に巻き込まれないよう、後方の安全確認をしながら進みます。
フィニッシュ!
ハイウェイを降りて街中を進むと、スタート・ゴール地点のカピオラニ公園です。
ゴールゲートが用意されていて、フィニッシュした人を迎えてくれます。
割と早めのゴールだったので、人はそれほど多くありませんでした。ちょっと早く進みすぎました。せっかくのホノルルセンチュリーライドなので、もう少しゆっくり進めばよかったかも。
ゴールするみなさん、実にいい笑顔で楽しそうなのが印象的でした。正しくファンライドですね。
ゴール地点ではハワイバイシクルリーグのテントが出されていて、完走証の受け取りやラミネート加工、それに各種物販がありました。
しばらく完走の余韻に浸っていると、突然の雨に降られました。雨がやむのを待ってカピオラニ公園を後にしました。
おわりに
初めてのハワイ、初めてのホノルルセンチュリーライド、オアフ島の自然をめいいっぱい感じることができました。自転車だと車よりもその地を身近に感じられると思います。ハワイ観光といえば、ワイキキ周辺でのビーチ遊びやショッピングが有名ですが、自転車では一味違った楽しみ方ができたと思います。
時間制限に気を取られて速く進みすぎたのが心残りですね。もし次に参加できたら、もう少しゆっくりペースで進みたいと思います。