はじめに
そうだ、阿蘇に行こう!と思い立ったのは少し前。以前から行きたいと思っていた阿蘇へ、ついに行ってきました。
阿蘇は熊本県の東部にあります。大分県と宮崎県の県境近くに位置し、「阿蘇くじゅう国立公園」の多くを占めています。阿蘇の魅力はなんといってもその風景。世界でも有数の規模を誇る阿蘇カルデラでは、ここだけでしか見られない景色が広がっています。
緑のじゅうたんを敷き詰めたような広⼤な草原に、こんこんと湧き出る清⽔、そして世界最⼤級を誇るカルデラ大地。壮⼤なスケールの⼤⾃然に囲まれた阿蘇は、走ってよし、泊まってよしとサイクリストの目的地にぴったり。いつかは行ってみたいと思っていたのでした。
ちょうど予定が確保できて天気も良さそうだったので、交通手段と宿泊場所をささっと手配しました。阿蘇へのアクセスは新幹線、飛行機、フェリーといくつか選択肢がありますが、今回は新幹線で熊本まで行くことにしました。宿泊場所はカルデラ内部の阿蘇駅周辺で確保したので、熊本からはカルデラを越えていくことになります。
ルートを引いてみたところ、割と獲得標高が多めのヒルクライムライドになりそう。その分、絶景が拝めそうです。期待を胸に、いざ出発!
熊本から市街地を抜けて俵山峠へ!
早朝の新幹線に乗って、熊本駅へ向かいます。途中、同じく輪行のサイクリストの方と遭遇しました。特大荷物スペースの関係で、遭遇確率が高いですね。スペースをやりくりして熊本駅に到着です。
駅前のスペースで輪行を解除してライドの準備をします。お天気は雲ひとつない快晴で、しばらく晴れ予報。絶好のサイクリング日和です。
今回はヒルクライムが多めのルートだったので、軽量なリムブレーキのTCRを連れてきました。輪行にも慣れていますしね。ディスクブレーキのTCRがメンテナンス中だったこともあります。荷物はコンパクトにしてオルトリーブのサドルバッグLに収めました。
熊本駅を出発すると、阿蘇に向かって東に市街地を進むことになります。
熊本の市街地は、路面電車が走っています。身近に路面電車が走っていないので、ちょっと新鮮。
市街地を抜けると斜度が上がってきて、いよいよヒルクライムの始まりです。途中、コスモスがキレイに咲いている公園がありました。寄り道しようとも思いましたが、後ろの時間を考えると余裕が欲しかったので、先に進みました。
とはいえ、見晴らしのよいところでは、足を止めて写真撮影に興じるわけです。橋の上で立ち止まれるのは自転車ならでは!
ここまでは県道28号線を進んできましたが、ここで分岐して旧道に進みます。山肌を横切っている道が旧道です。
旧道に入ると斜度が上がりますが、車通りが少なくなり走りやすくなります。景色のよい場所もちらほら。天気がよすぎて暑いくらいです。11月とは思えないほど、なんですかこの暑さ!
しばらく進むと、たくさんの風車が登場しました。
うまく風を受けて発電できる立地なんでしょうね。ここ以外でも何箇所か風車を見かけました。
さらに登っていって、南阿蘇村に入りました。
なんだか趣のある看板です。
さらに登っていくと、俵山峠のピークに到達しました。阿蘇が一望できる絶好のビュースポットです。
阿蘇へダウンヒル!
俵山峠を越えると、阿蘇のカルデラ内部へダウンヒルです。
青い空、白い雲、金色のススキ、それにワインディングに富んだダウンヒル。素晴らしい体験です。
愛車の撮影も捗るというもの。一気に進んでしまうにはもったいない。景色を楽しみながら慎重にダウンヒルをこなしていきます。
自転車の人は少なめで、どちらかというとオートバイの人が多かったですね。人気ツーリングスポットというのも納得の多さでした。
ここ以外でもススキの見頃がピークでした。日に照らされて金色に輝く様子がキレイ。
降りきった先には、フォトスポットがありました。向こうに見えるのが、いわゆる阿蘇五岳かな。
俵山峠は登りごたえのある峠でしたが、それに見合った絶景を見せてくれる魅力的な峠でした。
道の駅 あそ望の郷くぎのでお昼ごはん
県道28号線をしばらく進んで、道の駅 あそ望の郷くぎのに到着です。
南阿蘇ではサイクリングを推しているようで、レンタサイクルやサイクリングルートの案内など、サイクリスト向けのサービスが充実していました。サイクリストの一人として嬉しい限り。おもてなしに応えられるよう、せっせとお金を落としていくとしましょう。
この日は防災関係のイベントで賑わっていました。いろいろ興味深い展示もあって気になりましたが、阿蘇が待っているので後ろ髪をひかれつつチラ見に留めました。
ちょうどお昼どきだったので、休憩を兼ねてお昼ごはんにします。
じゃーん、名産のあか牛を使ったハンバーグのロコモコ丼です。
肉と野菜をまとめていただける手軽な丼です。牛丼もありましたが、気分的にもお財布的にもハンバーグが手頃だったので。濃いめの味付けが汗をかいた身体に嬉しい。ぺろっと食べ切ってしまいました。お茶やお水もいただいてリフレッシュできました。
熊本は2016年に大きな地震にみまわれており、その爪痕は今でも残っています。それらが震災遺構としてまとめられており、このパネルで一望できます。特に阿蘇中央火口丘群の表層崩壊は遠くからでも顕著で、この旅の間も幾度か目につきました。地震大国日本に暮らす一人として、記憶に留めておきたいものです。
阿蘇パノラマラインを越えて!
道の駅を後にしたら、県道111号線、いわゆる阿蘇パノラマラインを進みます。
阿蘇パノラマラインは阿蘇山上までのヒルクライムルートです。緑が茂る中、くるくるとペダルを回して進んでいきます。
山肌にはところどころ表層崩壊の痕らしきものが見えます。
さらに進むと、南阿蘇パノラマライン展望所に到着です。眼下には先ほど通ってきた南阿蘇村が一望できます。
TCRは絶好調です。軽いとヒルクライムも楽に登れます。
天気は相変わらずの晴れ。気温はガーミンの読みで25度ほど。11月とは思えない陽気です。こまめに水分補給しながら先に進みます。
先に進んでいくと、木々がなくなり視界が開けます。向こうに見えるのは烏帽子岳でしょうか。
日本とは思えない絶景が広がります。
建物ひとつ見えず、見渡す限り草原が広がっていて、思わずオープンワールドRPGのフィールドBGMが脳裏に流れているように感じました。
トンネルを抜けると、烏帽子岳が違った方向から見られます。
山肌が茶色くなっているところは、表層崩壊の影響でしょうか。
緑と茶のコントラストが荒々しい。これもまた絶景なり。
この日は交通量が少なく走りやすかったです。晴天とあいまってテンション爆上げ。
山肌は灰色になり、いよいよ火口が近づいていることが実感できます。
阿蘇山上広場にて
しばらく進んで、阿蘇山上広場に到着です。
中岳火口は残念ながら立入禁止でした。11/9からは火口見学が一部再開されているとのこと。次の機会は火口見学してみたいものです。
火口までは自転車で行けないのが残念です。
バスは運行していませんが、ターミナルは営業中です。くまモンがお出迎え。
山上広場からはこれから進む草千里ヶ浜が見渡せました。
ここもまた、フィールドBGMが流れてきそうな景色ですね。
草千里ヶ浜にて
山上広場を後にして、さらに進むと草千里ヶ浜です。
噴煙を上げる中岳が遠くに見えます。次こそは!
草千里ヶ浜には散策を楽しむ人がたくさん見えました。
右手奥は池でしょうか。水量が少ないせいか小さくなっているように見えます。夏は草原の中に大きな池が見られるのかな。
中岳火口の噴煙が遠くに見えます。手前には放牧されているらしき馬の姿も。乗馬体験があったので、次は挑戦してみたいです。
しばらく進むと、草千里展望デッキです。見晴らしのよいところにデッキが設けられています。
少し高い場所にあるので、中岳火口を違った角度から見ることができます。
雲とは一線を画した噴煙が目立ちますね。
外輪山もキレイに見えました。こうしてみると、カルデラ地形がよく分かります。
これが一面の緑になると、それはそれで絶景でしょうね。次は初夏に来てみたいものです。
こちらは杵島岳でしょうか。1時間くらいで登れるようです。
急に雲が出てきて曇天になりましたが、雲間から日が差して幻想的な光景でした。
ここにも風車が見えますね。
阿蘇へダウンヒル
草千里ヶ浜を後にしたら、阿蘇のカルデラ内部へ降りていきます。
県道111号線を阿蘇駅方面に進んでいくわけですが、この道がまた絶景なんですよね。
ブルーの矢羽根がひかれていて、自転車が歓迎されているのも嬉しいところ。
まさに絶景のダウンヒルです。景色がよすぎて足を止めたいものの、ダウンヒルも気持ちよくてどんどん進んでいってしまいます。
道端では放牧されている牛さんがちらほら。
こちらのことなどお構いなしに、のんびりと草を食んでいました。
大観峰へ!
慎重にダウンヒルをこなして、阿蘇に到着。もう少しだけ時間があったので、大観峰まで足を伸ばすことにしました。大観峰へは内牧から国道212号線を進むことになります。
大観峰まで400mほどのヒルクライムですが、ここまで散々登ってきた脚にはこたえますね。その分だけ絶景が見られるので帳消しかな。
ところどころに設置された展望台に寄り道しながら、淡々と登っていきます。
無事にクライム完了。大観峰に到着です。夕暮れ時で、夕陽を見るためか意外に車が多かったです。
大観峰からは阿蘇の街並みが一望できます。いやー、絶景かな。
青空と夕焼けが混じる黄昏時の色合いがステキ。
外輪山を通るミルクロードも遥か遠くに見えます。
登るかどうか迷いましたが、来てよかったです。
今だけ、ここだけの景色を見ることができました。
雲と太陽が織りなす景色が刻々と移り変わり、見ていて飽きません。
このまま夕陽が沈むところまで見てみようかと思いましたが、日没後のナイトライドは危なそうだったので、名残惜しいものの出発することにしました。
ススキが夕陽に照らされて、これはこれで絶景でした。
来た道を引き返して、今日の宿泊場所に到着。今日のライドは終了です。お宿の温泉で疲れを癒して明日に備えました。明日は丸一日が自由時間。さて、どこに行こうかな。