映画館で映画を観てきました。
アイドルを目指す少女の青春物語です。ふと目にして気になっていたので、映画館に足を運んでみました。
「絶対にアイドルになりたい」という夢を持った主人公・東ゆうが、メンバーを集めてアイドルを目指していく、というストーリーです。アイドルをテーマとした作品ですが、スターダムを駆け上がるアイドルものとは一線を画した切り口で、新鮮味を感じながら楽しめました。
半島地域「城州」の東に位置する城州東高校1年生の東ゆうは、「絶対にアイドルになる」ために美少女を仲間にしてアイドルグループを結成しようとします。そのために、他の3つの方角にある高校へと足を運び、かわいい女の子を探して友達になろうとします。行動の甲斐あって3人の美少女と友達になり、いろいろなイベントをこなしながら結束を固めていき、ついにチャンスを掴んでアイドルデビュープロジェクトが始動、しかし大きな問題に直面してしまう。トラペジウムは概ねこんなストーリーです。
女子高生が4人集まってわちゃわちゃする、というとゆるふわ日常系のアニメやコミックスで定番のフォーマットですが、ほのぼのとしたイベントだけではなく、心に爪痕を残す印象的なシーンが畳み掛けるように登場する点が印象に残りました。
トラペジウムの魅力はいろいろありましたが、主人公東ゆうの行動力が特に印象的でした。「アイドルになる」という目的から逆算して行動を組み立てる計画性、周囲の視線をものともせずに行動を貫く信念、予定にない出来事に対しては当初の計画に固執せず柔軟に対応し、後から計画を見直す柔軟性、どれも自己啓発本のネタになりそうなほどで、物語をぐいぐい引っ張っていました。
主題歌を手がけるのはMAISONdes。「今最もSNSで使われる音楽」を生み出している架空のアパートとのこと。楽曲毎に部屋が割り振られ、部屋毎に歌い手と作り手を変えて、「六畳半ポップス」というポップミュージックを生み出しているそうです。四畳半には神話があったものですが、ポップスは少し広くなって六畳半、いったいどういう間取りなんでしょう。
しかし、いまどきの人気を測るバロメーターはSNSなんですね。登録者数やフォロワー数が踊る宣伝文句で改めて実感しました。そういえば、どこかのバンドものでもフォロワー数を気にしていたな。
タイトルの「トラペジウム」は、オリオン大星雲の中心にある散開星団のことで、ラテン語で「台形」を意味します。散開星団のうち、観察しやすいのが台形を形作る4つの星で、本作の主要メンバー4人になぞらえているのでしょう。作中でも、折に触れ星景が登場します。
ところで、主人公が東で物語が東から始まるのはグッとくるものがありますね。おそらく関係はないでしょうが、東方は紅く燃えている!
足を運んだ映画館は、いつものエキスポシティです。今回は物販にも目を向けてみました。
普段はあまり物販には手を出さないのですが、ふと目にとまったのがこちら。
メタルブックマーカー、いわゆる栞です。
作中で主人公東ゆうが見せるしぐさがモチーフになっています。
エメラルドグリーンの栞ひもがおしゃれ。
電子書籍の普及もあって紙の本を手にする機会が少なくなりましたが、栞を挟んで少しずつ読み進めるのも楽しいもの。劇場版を観てから原作が気になってきたので、紙の書籍で読んでみようかな。
現役アイドルが手がけた長編小説が原作ということもあるのか、典型的なアイドルものとは一線を画した印象深い作品でした。90分の中に山あり谷ありで、密度の濃い体験だったと思います。
脇を固める主人公たちの協力者が星と写真が好きで、使っているカメラがソニーのα7シリーズなのもよかったです。撮影のシーンでは思わずレンズに目が行ってしまいました笑。Planarの50mmだったような。
映画を観て、私も写真撮影がしたくなってきました。好きなものをカメラで写すのが難しくて、練習していくうちに気がついたらハマってた、そんな情熱を傾けられる被写体や体験を私も探してみようと思います。