Anime

がんばっていきまっしょい @109シネマズ大阪エキスポシティ

映画館で映画を観てきました。

がんばっていきまっしょい

高校のボート競技をテーマにした青春アニメです。何かの映画を観に行った際、上映開始までに流れる各種予告編で見かけて気になったので、封切り後に足を運んでみました。

どこか冷めていて一生懸命になれない主人公、「悦ネエ」こと村上悦子が、転入生である高橋梨衣奈に巻き込まれて廃部状態だったボート部を復活させ、あれよあれよというまに5人のメンバーが揃って活動を開始したものの理想と現実のギャップを目の前にして打ちのめされ、なんやかんやあって気持ちを一つにボート競技に打ち込む、そんなストーリーです。

序盤で印象的だったのは、悦ネエがリーダーシップを発揮する場面ですね。ボート競技に打ち込むことに魅力を感じて、あきらめがちだった悦ネエに情熱の炎が小さく灯るところにグッと引き込まれました。小さい頃から姉御肌で情熱を秘めた悦ネエの性格を見抜き、ストロークに据えた監督の采配も印象的。

その後は、あれやこれやで挫折を経験し、そこから立ち直ってボート競技に打ち込む姿が描かれます。悦ネエに焦点を当てながらも、脇を支える4人のチームメイトの気遣いや相互のやり取りが細やかに描かれていて、情感的な存在感が感じられました。

チームメイト以外に、ライバルとして登場する港山高校の面々もいい味を出しています。特に悦ネエと同じストロークである寺尾梅子が重要な役どころです。「一艇ありて一人なし」ボート競技は一人では成立せず、メンバー皆が心を一つにしないと進まない。みんなで何か一つのことに情熱を傾ける、ステキなことだと思います。なかなか経験できないんですけどね。

アニメーション制作は3DCGやVFX制作、デジタル技術を得意とする「レイルズ」と「萌」の制作です。キャラクターやボートは3DCG、要所では手描きも併用されていました。特にボート競技のシーンは出色の出来です。力一杯オールを漕ぐキャラクターの豪快かつ繊細な動きや真剣な表情と、3DCGならではの自由度を活かした縦横無尽のカメラワークがあいまって、ボート競技の疾走感や爽快感が十二分に表現されていました。特にオールの動きがよかったです。最初はバラバラでしたが、5人の心が一つになるにつれて一糸揃わぬ動きに変わっていく様子がはっきりと分かりました。揃ってからの動きもピッタリ同期するわけではなく、ポジションや個性が感じられる動きになっていたと思います。

また、キャラクターの動きや表情の芝居も細やかです。特に表情は、気だるげな表情や物言いたげだが飲み込んでしまった表情の移ろいなど、キャラクターの内面を映した細やかな描写で物語に深みを与えていました。この上に雨宮天さんをはじめとした実力派声優さんの声が乗るわけで、キラキラの青春ストーリーがスクリーンいっぱいに広がって胸いっぱいの上映体験でした。

エンドロールを見る限り、動きはモーションキャプチャで表情は手付けでしょうか。注ぎ込まれた労力を想像するとめまいがします。よくぞ完成させて世に送り出してくれたものです。あと、収録はアフレコではなくプレスコのようでした。プレスコ担当の方がクレジットされていたので。このクオリティの映像を先に出せる制作体制やスケジュールに興味津々です。

3DCGの他に、背景も美しい。ボート競技ということで海や湖などの水辺が登場するわけですが、透明感がある水の描写に、朝昼夕晩の時間帯に合わせた光の描写が加わって、印象的な画面になっていました。お気に入りは、夕暮れに染まる艇庫横で4人が悦ネエを迎えるシーンですね。もちろん、朝から昼にかけての青い空と白い雲、それに青い海のコントラストも素敵です。

物語よし、画面よし、芝居よし、三拍子揃った上質の青春物語でした。歳を重ねると自分の身の丈が分かってきて、なかなか背伸びや一生懸命とはいかなくなるもの。どこか冷めてしまった主人公に自分を重ねて、自分も何かにひたむきに打ち込んでみるか、と思える良作です。

がんばっていきまっしょい!!

がんばっていきまっしょい 坊っちゃん文学賞

がんばっていきまっしょい 坊っちゃん文学賞

敷村良子
425円(11/18 09:21時点)
発売日: 1996/07/01
Amazonの情報を掲載しています

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください