2025年モデルで第10世代にモデルチェンジしたTCRを購入しました。
TCRはジャイアントが誇るレーシングモデルのロードバイクです。登りも平坦もバランスよくこなせるいわゆるオールラウンダーで、シリアスなレーサーだけでなく私のようなホビーライダーにも恩恵がある仕様と性能を提供しています。
私はこれまでに第8世代(リムブレーキ無印)、第9世代(リムブレーキSL、リムブレーキPRO、ディスクブレーキPRO)と合計4台のTCRを購入して、どのTCRも満足かつお気に入りです。モデルチェンジした第10世代も試乗して好感触、ケーブル内装でクリーンかつエアロ性能がアップした点が気になって迷っていたところに、注文可能という話を聞いて思い切って購入しました。2022年モデルのディスクブレーキPROを購入したときは1年待ちなんて話もよく聞きましたが、最近の納期は多少マシになっているみたいです。
モデルはSLグレードのセカンドモデルSL 1を選びました。リムブレーキのSLグレードが好感触だったので、ディスクブレーキでもSLグレードを体験してみたいと思っていました。SLグレードにはコンポーネントの違いでSL 0とSL 1の2モデルがラインナップされています。試乗したSL 0も魅力的だったのですが、リムブレーキのSLでSL 0相当の仕様(CADEXとDURA-ACE)を体験済み、今回はジャイアントとUltegraを体験したいと思ってSL 1を選びました。SL 0だとSL 1比でお値段が1.5倍くらいになってしまいますし。
SL 1のフレームカラーはブルードラゴンフライです。光の当たり具合で青だったり紫だったり、色々な色に見える不思議な塗装です。SLグレードのフレームは電動変速専用で、PROにあったダウンチューブのケーブル受けは省略されています。最近は電動変速がお手頃になってきたので、電動変速専用でも大きな問題はないということでしょう。余分な開口部がないと見た目がスッキリしていていい感じ。
ヘッドチューブにはジャイアントのラッシュマークが配置されています。エアロ性能に配慮したと思われる複雑なチューブ形状がかっこいいです。
スローピングしたトップチューブからシートステーに滑らかに接続される点が、TCRの造形的な魅力の一つだと思います。第10世代になって、左右のシートステー間にあったリブがなくなりスッキリした見た目になりました。リムブレーキのときは、ブレーキキャリパーの取り付け部として活用されていて意味がありましたが、ディスクブレーキになって特に意味のない場所になっていたので、今回の変更は素晴らしいと思います。裏が汚れがちで清掃が面倒なんですよね。
フレーム一体型のシートポスト、いわゆるISPはSLグレードの証です。軽量で乗り心地もよく性能面では申し分なし。シートポストの高さ調整がしづらいのが難点ですが、ある程度ポジションが決まっていれば問題なし。私の場合は、リムブレーキのSLフレームに乗っていたので、何とかなるはず。サドルやペダルの違いで微調整は必要でしょうけど。なお、サドルを高くする分にはスペーサーを入れることである程度は対応可能です。
最大33mmまでのタイヤクリアランスを確保したという触れ込みのフロントフォークです。左右対称、かつ空力と剛性と軽さを高次元にバランスさせているとのこと。
第10世代で最大の変更点である、ハンドル周りのケーブル内装です。やはりケーブルが露出していないとスッキリ見えます。エアロ性能でも優れていて言うことなし。ただし整備は面倒になります。
内装されたケーブルはステム下を通ってD型断面のフォークコラムのケーブルスペースを通ります。ブレーキホースを接続したままでも、ある程度のハンドル上下は可能です。ヘッド周りに開口部が存在することで、水が入りそうなのが気になるかな。テープか何かで塞いだ方が気分がよいかも。
サドルはショートノーズのFLEETサドルから、カーボンレールのモデルFLEET SLRが付属します。PROグレードでアルミレールのFLEET SLを使っていたので、私にとっては慣れた形状のサドルです。CADEXのサドルも気になりますが、今回は完成車そのままというコンセプトでこのまま使おうと思います。
ハンドルバーとステムはカーボン製のモデルが付属します。最初から高性能パーツで組み上げられているのはSLグレードならでは。CADEXに交換したいなどと変な気を起こさなければ、完成車そのままでパーツ交換は不要です。
ハンドルバーは新型のフレアハンドルです。エアロなポジションが取りやすいと評判のハンドルで、実際に自分で試してみるのが楽しみです。
第10世代のTCRでは、ジャイアント製のスピード・ケイデンスセンサーであるRidesenseには対応しなくなりました。ご覧の通り、チェーンステーのRidesense取り付け部が省略されています。最近では、ケイデンスセンサーはパワーメーターが兼用しますし、スピードセンサーはマグネット不要のホイール取り付け式が主流なので、Ridesenseの役目を終えたということなのでしょう。かくいう私もRidesenseは使っていませんでした。電動変速専用と合わせて、余分な開口部が減って見た目がスッキリ、清掃もしやすくなってありがたいです。
ディスクブレーキのローターは、前160mm、後140mmの設定です。TCRは後140mmが標準のようで、手持ちのPROも後140mmでした。ちなみに、Defyは前後ともに160mmとのこと。何かポリシーがあるのかもしれません。
SL 1のコンポーネントはR8100 Ultegraがフルセットで採用されています。フロントのチェーンリングは52-36で、少しレース向けのセッティングです。
スプロケットは11-34が採用されています。フロント52-36と組み合わせて幅広いギア比に対応します。最近はチェーンリングもスプロケットも大きいギアが主流のようで、リアディレイラーのアームも長いものが標準です。ロー側34Tは初めてなので、体験してみるのが楽しみ。
クランクにはジャイアント製のパワーメーターPower Proが搭載されていて、これ以上手を加える必要はなさそうです。Power ProはリムブレーキのPROでも使っていますが、特に問題もなく満足しています。リムブレーキのPROはR8000 Ultegraでしたが、まぁ大きな違いはないでしょう。
リムブレーキのSLは、50-34/11-30の組み合わせなので、52-36/11-34の組み合わせが好感触なら次の交換ではギア構成の変更を考えてみます。チェーンリングもスプロケットも消耗品なので、交換の機会がありますから。
コンピューターマウントは、CADEXのものを追加購入しました。リムブレーキのSLでも使っていて満足しているので。TCRに付属のコンピューターマウントはカーボン製で軽量かつ高機能なものなのですが、角度調整のためにヒンジがついていて段差の衝撃でズレることがありました。締め付けが弱いのだと思いますが、あまり強く締め付けると破損しそうなので、最初からヒンジがないCADEXのコンピューターマウントを選びました。
ホイールは新型のSLR 0 40が付属します。リムハイト40mmのセミディープホイールです。リム幅22mmでカーボンスポークと今風な仕様です。タイヤも28CのCADEX RACE GCが付属して、交換不要の最新スペックです。
これまで、カーボンスポークはCADEXのみの仕様でしたが、ジャイアントでもカーボンスポークが採用されて手が出しやすくなりました。なお、CADEXの40はスポークだけでなくフランジまで一体化したカーボン製でさらに攻めています。
ボトルケージはカーボンコンポジットのものが1つ付属します。これまではボトルケージが付属しなかったので、嬉しい変更です。リサイクル素材を使ったエコな製品とのこと。お揃いにするためにもう一つ買い足しました。
TCR ADVANCED SL 1は、SLグレードのフレームに電動変速・油圧ディスクブレーキ、それにカーボンホイールとスキのないスペックで、さらに電動変速専用とケーブル内装でスッキリした見た目を手に入れた魅力的なモデルです。実際に乗ってみるのはこれからですが、試乗時の好感触と変わらない乗り味が体験できるはず。SL 1はSLグレードの中でもセカンドモデルですが、私にとってはこれがちょうどよい。シマノコンポとディスクブレーキの乗り味を楽しみたいと思います。